こんにちは!元小学校校長のおばあちゃんです!
先日は、孫ののんちゃんが「雪大好き!」な女の子であることを書きましたが、今日は、教員時代に雪の日の子どもたちを見守ってきたエピソードを書こうと思います。
朝の校門で
校長時代は、毎朝校門で子どもたちを出迎え、「おはようございます」の挨拶を交わしていました。
毎朝変わらず元気いっぱいの子どももいれば、家での出来事がそのまま見て取れるような表情の変化のある子どももいます。一人一人に声をかけ、変化を見つけるのが毎朝の楽しみでした。ちょっぴり恥ずかしがり屋の子どもは、あいさつの声もちょっと弱々しいのですが、関係が深まるにつれて、目を見てにっこりあいさつができるようになってくるのも日々の楽しみでした。
雪の日には、転んで雪にまみれた膝、握った雪玉、買ってもらったばかりのかわいい手袋などを見せてくれるので、会話も盛り上がります。
元気に手を振る子どもたち
雪の日には、登校を心配して車で送って来られるおうちの方が増えます。もちろん、雨の日にもですが…。
車から降りた子どもたちは、おうちの方に手を振ってお別れをします。
なぜか、多くの場合、女の子よりも男の子の方がお母さんにいつまでも手を振るのです。それをいつもほほえましく思って見ていました。
何人かの男の子は、お母さんの車が去った後も、自分だって背中を向けているのに関わらず、いつまでも手を振っているのでした。
子どもたちは、こうして少しずつ親離れをしていくのだろうと、かわいく揺れる手を見守ってきました。
必死に子育ていた頃に、自分の息子や娘が手を振る姿は今やもう思い出せないのですが、小学生の子どもたちが、朝おうちの方とお別れをする様子は、今も鮮明に思い出します。
なかなか手を振れない子どもたち
毎朝家から徒歩で登校する子や、兄弟姉妹と仲良く手をつないでやってくる子、自分たちのために停車してくださる車に丁寧に会釈をしてやってくる子もたくさんいるのですが、泣いて登校しぶりをする子どもさんもいました。
その中に、お母さんとの別れに10分くらいの時間を要する1年生の男の子がいました。
毎朝この子が校門までやって来ると、お母さんの手から引き継ぎ、手を取って玄関まで連れて行ったものです。泣く泣くお別れをするので、お母さんに手を振るどころではありません。
毎日大変なお別れをするものですから、お母さんはこの子にとって心の支えになる、大切なバスタオルを持たせることにしました。
スヌーピーの友達のライナスの青い毛布と同じです。ライナスの青い毛布のことを心理学用語で「安心毛布」と言うようですが、この男の子にとっては、青いバスタオルがそれでした。
青いバスタオルを握りしめ、男の子はがんばって毎日登校してきました。お別れの前に、最後にお母さんにギューしてもらおうか?と促すと、喜んでギューしてもらうのでした。
じきに、青いバスタオルは手に握らなくても、ランドセルに入っていればOKになり、手首にお母さんのピンクのシュシュをしてやって来るようになりました。そして、時がたつとシュシュはお母さんの髪を結うための黒いゴムに変わっていきました。
一人一人のスピードで
この男の子が2年生になるころには、手首にはシュシュも黒いゴムもなくなり、お母さんを振り返ると手を振る間もなく、颯爽と校門を駆け抜けるようになりました。
青いバスタオルは?
実は、バスタオルだけはランドセルの中に毎日しのばせていました。学校でそれを手にすることはありませんでしたが、「安心毛布」があることは、彼にとって大切なお守りだったのでしょう。
こうして、子どもたちは一人一人、自分のスピードで親離れをし、自分の足で歩みを進めていくのだな…と、朝のひとときを見るたびに思うのでした。
ことに、雨の日、雪の日、おうちの方が子どもさんの送迎をしてくださる様子を見るたびに、この子のことを思い出します。
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